臼井康兆

新型コロナウィルス時代をどう生きるか-。多くの人が自問自答する中、アルベール・カミュの小説「ペスト」が読み直されている。疫病の発生で隔離された街の市民を描いたフィクションだ。 小説の発表は、第二次世界大戦の終戦二年後の一九四七年。大量の人の死など「悪」が象徴的に描かれているとされ、対比するように「誠実さ」「連帯」「共感」などのキーワードがちりばめられている。